白内障の治療
白内障は、加齢とともに誰にでも起こる自然な変化です。
自覚症状の有無や程度には個人差があり、視力が1.0ある方でも「光のまわりに輪が見える(ハロー)」「夕暮れ時に見えにくい(コントラスト感度の低下)」など、不自由さを感じて来院されることがあります。一方で、視力が0.3程度でも気にされない方もいらっしゃいます。
当院では、白内障が生活に支障をきたさない限り“健康な状態”と考えます。
防腐剤入りの点眼液を不必要に処方するのではなく、できるだけ治療を介さず、白内障であることを忘れて日常を過ごしていただくという考え方です。
ただし、将来的な手術に備え、ごく初期でも眼軸長(目の長さ)だけは計測しておきます。これにより、将来の手術精度を高められます。
また、白内障の初期では屈折(見え方のピント)が変化するため、遠視・近視などの度数調整により快適さを得られるケースもあります。
例えば、軽度の白内障により遠視化した方には、非球面のコンタクトレンズを提案し、快適な視生活を取り戻していただきました。まぶしさに対しては、偏光レンズのサングラスも有効です(主に術後にご案内しています)。
私たちは、白内障がある方でも「どのように日常を快適に過ごしていただけるか」を一緒に考え、無理のない形でサポートしています。
白内障の日帰り手術
当院の白内障手術は、日帰りでの対応が可能です。
この手術は単に「病気を治す」ものではなく、より良い視生活を実現するための方法と考えています。
たとえば以下のような具体的な困難さが、手術によって改善することがあります:
朝・夕の太陽光、夜の対向車のライトがまぶしい
テニスで相手の動きが見えにくい
手芸やバイオリン演奏で細かい部分が見えにくい
ゴルフで距離感やボールの落ちる位置がわからない
これら一つひとつの「困難さ」を患者さん・スタッフ・医師で共有し、術後の生活がどう変化すれば“幸せ”と感じられるかを一緒に考えることが、私たちの手術の出発点です。
手術後の視力提案と眼内レンズの選択
白内障手術では、眼内に人工レンズ(眼内レンズ)を挿入します。選択肢は多岐にわたり、患者さんの生活スタイルに合わせて提案しています:
単焦点レンズ(遠見/近見/モノビジョン)
乱視矯正用単焦点レンズ
多焦点レンズ(屈折型/回折型)
多焦点+乱視矯正(屈折型・回折型)
ハイブリッド(左右で異なるタイプを組み合わせ)
これだけのバリエーションがあるのは、それだけ多様なライフスタイルとニーズがあるからです。
一方で、「すべてを満たす万能なレンズはない」ことも、しっかりご説明します。
幸せな手術とは
当院が大切にしているのは「結果-期待値=幸せ」という考え方です。
過度な期待は、たとえ成功した手術の満足度を下げてしまうことがあります。そのため、眼鏡やコンタクトの例を交えて、現実的で具体的なイメージを共有します。
眼内レンズの度数が0.5D刻みであることや、手術には若干の屈折誤差があることなども丁寧にお伝えし、「現実的な期待値」を一緒に作り上げます。
まとめ
白内障治療も手術も、目的は「患者さんのその先の生活をより良くすること」です。
当院では、治療を急がず、押しつけず、困ったときにはしっかりと対応する、そんな安心できる眼科医療を提供しています。
緑内障の治療
~「健康な患者さんを幸せに」するために~
緑内障は、40歳以上の約5%、70歳以上では約13%の方に見られる、比較的よくある目の病気です。視神経が徐々にダメージを受けていく疾患ですが、その進行スピードや重症度には個人差が大きく、「病気」といってもすぐに治療が必要とは限りません。
■ すべての緑内障患者さんが治療を必要とするわけではありません
軽度の緑内障や進行の遅いケースでは、「経過を見守る」ことこそが最良の選択肢となることもあります。
当院では、「健康な患者さんを幸せに」という考えのもと、以下のようなことを大切にしています:
不必要な治療で患者さんの負担(時間・お金・心)を増やさない
自覚症状のない方に、過剰な不安や罪悪感を与えない
治療を始める前に「見え方をどう維持したいか」という目標を一緒に設定する
■ 治療が必要かどうかは「進行スピード」で判断します
当院では、**定期的な検査(OCT、視野検査)**を通じて、視神経の変化を「時間軸で」評価します。
OCT(網膜神経線維層解析):6ヶ月ごとの検査で2~3年かけて進行を観察
ハンフリー視野検査:MD(感度の平均値)が3年間で1dB以上の低下で治療開始
VFI(視野指数)グラフ:将来的に見え方が大きく下がる傾向があれば治療検討
明確な“進行”が確認されたときに、患者さんと話し合いながら治療を開始します。
治療方法の選択肢
1. 光凝固(SLTレーザー)
治療の第一選択として、当院では**点眼薬に頼らない「光凝固治療」**をおすすめしています。
この治療には以下のようなメリットがあります:
点眼が不要で、日々の自己管理から解放
薬の副作用がない
来院の頻度は約18か月に一度、日常生活への影響が少ない
万が一、治療効果が不十分でも再治療や次の治療にスムーズに移行可能
2. 点眼治療(目薬)
もし光凝固でコントロールできない場合は、点眼治療を提案します。
患者さんが必要性を十分に理解した上での選択となるため、継続率も高く、前向きに治療に取り組んでいただけます。
「緑内障」と共に、安心して生活するために
当院では、「緑内障=すぐに薬」ではなく、目標に向けてどう付き合うかを一緒に考える医療を提供しています。
無治療で経過を見ている方
光凝固だけで十分な方
必要に応じて点眼治療を継続している方
どの患者さんも、自分に合った方法で無理なく通院を続け、前向きに生活されています。
初めて緑内障を指摘された方にも、「発見できてよかった」と思っていただけるよう、丁寧な説明とサポートを心がけています。
ハードコンタクトレンズ(HCL)
ハードコンタクトレンズ(HCL)のフィッティングについて
~すべてのHCL装用者に、快適な視生活を~
ハードコンタクトレンズ(HCL)は、近視・遠視・乱視など幅広い屈折異常に対応する優れた矯正方法です。
一般的なデザインのHCLで快適に過ごしている方も多く、約70%のHCL装用者は「見えやすい」「疲れにくい」と感じておられます。
しかし、すべての方にフィットするとは限りません。
なぜHCLが合わないと感じるのか?
HCLで快適になれないとされる約30%の方には、以下のような特徴が見られます:
角膜の中心と周辺のカーブ差が大きい/小さい
角膜の直径が平均より大きい/小さい
涙の量が少ない/涙の膜がすぐに壊れてしまう
瞼の圧力が強く、HCLがずれてしまう
こうした理由から、既製のHCLでは「痛い」「ずれる」「視界が安定しない」といった不満を抱えてしまう方が一定数存在します。
当院の取り組み:カスタムメイドHCL(オーダーメイド対応)
当院では、健康なHCL装用者が快適な視生活を送るために、カスタムメイドのハードコンタクトレンズを提供しています。
▼ 特徴と流れ:
角膜形状の精密計測(トポグラフィーなど)
3Dデータを基にしたシミュレーション設計
その方の角膜に最も合う試作レンズを作成
必要に応じて細かく削って調整(フィッティング)
この方式は、HCLが登場した初期の「削り出し技術」を現代のテクノロジーで進化させたものです。高度な解析と職人技の融合によって、唯一無二の装用感を実現します。
継続して支える体制があります
このカスタムHCLには、経験豊富なスタッフが長年対応しており、同じ担当者が25年以上にわたり専任で取り組んでいます。
また、メーカーからも熟練の技術者が定期的に訪れ、連携しながら高度なサービスを継続しています。
すべてのHCLユーザーを「幸せ」に
「HCLは合わないもの」とあきらめていた方にも、もう一度快適な視生活を届けたい。
それが、当院の「健康な患者さんを幸せにする」という想いの一つです。
HCL装用に困っている方
他院でフィッティングがうまくいかなかった方
市販品では合わないと感じている方
こうした方々に寄り添い、患者さん・職員・医師の3者が納得できる快適さを目指して、当院はこのサービスを今後も大切に提供してまいります。
2008年9月に導入した緑内障用治療用YAGレーザ手術装置 SELECTA duet で、15年間に1000眼以上のSLTを施行しました。2024年3月ellex tango に更新しました。
選択的レーザー繊維柱帯形成術 (SLT) とは?
・ 房水(眼内の水)の流出経路である繊維柱帯(フィル ター部分)につまっている色素細胞のみを非加熱照射し、房水の流れを良くし眼圧を下げる治療法です。
・ 繊維柱帯構造や無色素細胞には影響を与えずに房水流出抵抗を軽減します。
・ 眼圧が上昇すれば、繰り返し治療出来ます。
・ 治療後、すぐに日常生活が可能です。
・ 所要時間は5分程度です。
・ 低侵襲で合併症もありません。
・ 約70%の患者様に眼圧下降効果が得られます。
・ 通常術後1ヶ月ぐらいから効果が現れます。
・ 費用は、1割負担の方で約1万円、3割の方で約3万円です。
SLT開発者のDr.Latina と2009年San FranciscoのASCRSで
平成22年4月の下記の報告がその契機になりました.
2021年10月、単焦点眼内レンズ TECNIS EYHANCE ™ IOL
テクニス アイハンス® オプティブルー® Simplicity
テクニス アイハンス® トーリックⅡオプティブルー® Simplicity を導入しました。
従来の単焦点眼内レンズと比べて、なだらかな焦点深度曲線を示し、遠方のみならず中間距離が見やすくなっています。 海外ではプレミアム単焦点だったり、mono EDoFと呼ばれております。 ただし、多焦点レンズではないので手元を見る場合には原則として老眼鏡が必要となります。
ハマダ眼科では、単焦点眼内レンズ希望の患者さんに、ほぼ全症例にこのレンズを提供しています。
2024年11月、回折型 乱視矯正 多焦点眼内レンズ
テクニス オデッセイ® オプティブルー® Simplicity
テクニス オデッセイ® トーリックⅡオプティブルー® Simplicity を導入しました。
2焦点でも3焦点でもなく、EDoFの技術と回折型多焦点レンズの技術を融合し、遠方から手元まで視力の落ち込みが少なく、暗所においても高い視機能を提供します。
ハマダ眼科では、多焦点眼内レンズ希望の患者さんに、今後このレンズを提供する予定です。
超音波乳化吸引装置を更新しました。 CENTURION SILVER SYSTEM (2021年10月)
2014年5月に導入した超音波乳化吸引装置が7年経過したので 更新しました。 7年間市場にさらされているだあけあって完成度は高いです。 手術による惹起乱視がほとんど起こらないのには驚きました。 創口にたいする負荷が少ないようです。 1962年桑原安治が開発した, ねじれにより発生する超音波による破砕と同じ仕組みの OZIL モードを使うことができるのは 桑原安治先生の後輩にとっては 喜びです。
手術用顕微鏡を更新しました。20年来使用してきたZeis の顕微鏡へのサポートが難しくなったので2013年8月に更新しました。当時新型のLumera に移行する時期でしたが,慣れ親しんだ旧型の最終バージョンを入手しました。
2023年10月、RETeval を導入しました。1981年6月初めての国際学会19th I.S.C.E.V. Symposium, Horgen-Zurich, June 1-5, 1981
で、臨床電気生理の発表をさせてもらっていたので、電気生理学的検査には興味があったのですが、開業医、しかも診療所で使えて、しかも国際的に評価に耐える検査のできる機器がなかったので、導入していませんでした。RETeval は国際臨床視覚電気生理学会(ISCEV)準拠の手持ち網膜電位計です。迷うことなく導入しました。無散瞳で、皮膚電極で、暗室を必要としない、患者さんにも、職員にも負担をかけない計測機器で、ハマダ眼科のコンセプトにぴったりです。
2013年11月 3D VFT2 -3D ビジュアルファンクショントレイナーを導入しました。
開業以来20年 要求される広い暗室が確保できず 導入できなかった HESS (各眼筋の運動制限、遅動、過動を測定する装置)の代用品です。 シノプトフォアの機能も併せ持ちます。 メーカーは 「両眼開放下と広い視野という最も日常視に近い状態で、様々な検査及び訓練がこの一台で可能です。」と歌っています。 時間を取らずに患者さんに負担をかけずに気軽に検査でき,また,当院では今まで得られなかった情報が得られ,プリズム眼鏡の処方にも重宝しています。